新しい目標を見つけた

 研究ノートで見てみると2017年位なんだけれども、不思議な現象を観測してて、当時は別の応用を考えてたんだけど、それは上手くいかなくて止めていた実験がありました。で、つい最近、学会の飲み会で企業の人が「こんなんあったらいいんですよね~。」みたいなことがあって、この2017年に見つけた現象をふと思い出し、別の観点から評価してみるとかなり面白い結果が。

 こういう棚ぼた的なパターンで見つけた別の研究テーマは、今の自分のコアテーマになり、ちこくの底辺教員にまで引っ張り上げてくれました。が、見つけた当時はとにかく業績とお金が必要だったので、そのテーマをすぐに研究費なり論文なりに変換するのに必死でした。

 しかし、今は研究費にも余裕があるし、さらに上位の組織に行ったところで対して待遇も変わらないし、それでテーマと仕事を増やしたところで、校務を減らしてくれるわけではなく、むしろ過労が促進される状況です。なので、このテーマは1年位あらゆる方向から、出口を強く意識して調べて、論文化などはせずに社会実装に持っていきたいと思います。もしテーマにポテンシャルがあれば、ベンチャー企業作るところまで持っていきたい。そして、今いる組織から金銭的に独立する。それを新しい目標にしたいと思います。今の組織に移って5年。ようやく新しい目標が見つかりました。

単位認定に関する恐ろしい話

 衝撃的。

 

https://sskdlawyer.hatenablog.com/entry/2019/06/17/194248

 

年度末になると進級をかけた単位認定のバトルが学生と教員の間で繰り広げられるわけですが、教員がお情けで単位をあげたら、教務の事務がそれを指摘して、大学が当該教員に8か月の停職を命じたという話。

 

 うーん、まぁ色々と特殊な事情があったんだろうと思うけど(担当事務が変な人だった、教務委員会の教員と当該教員の仲が悪かった、ほかの学生がチクった等)、これは恐ろしい話。少なくとも自分の学科ではよほど学習態度の悪い学生でなければ、基本的には何らかの方法で救うという空気感があるので、このケースの基準を当てはめると、たぶんほとんどの教員が停職になると思う。

 

 にしても単位認定でここまでこじれる大学って、職場の空気が相当悪そうね...。

働き方改革というか自己研鑽というか

 前の所属に顔出しに行ったときに元同僚が

「あの先生は本部の国際交流の仕事ばっかりに注力してまともに学内の仕事をやってくれない。」

と言っていました。「それは良くないですよね」と返したんですが、どこか心の中で引っかかるものがありました。一方、今の所属では人員が減る一方で仕事がどんどん増える傾向が加速しつつあり、学生指導やってる場合ではないということを前に書きました。それで思ったんですが、この国際交流の仕事ばっかりやって学内の仕事(教務)をやらない先生のやり方は一理あるなと思ったのです。

 というのは、やっぱり教育機関である以上、もっとも大切な利害関係者は学生な訳で、その学生の指導に手を抜いてはいけないのです。しかし教員個人の時間も有限である。じゃあどこに手を抜くかといったら、学生が関わらないところ、つまり教務の仕事も一つの選択肢だなと思ったわけです。たとえ同僚から疎まれても、学生指導には手を抜かず(教務の仕事は手を抜いていたけど、学生を海外に派遣したりする等、教育機会をたくさん与えていた)、校務に手を抜くのはある意味、強い覚悟が必要で、それをやり切っているというのは、同僚になってほしくないですが、決して頭ごなしに否定はできないと思いました。

 じゃあ自分はどうするかということなんですが、同僚に迷惑かけられるほど神経太くないので、今年は9-17時でしか所属機関の仕事はやらないことにしました。これを超えて取り組まないと出せないようなアウトプットは組織に提供しないことにしました。そうすればおのずと仕事が取捨選択されて無駄が無くなると思います。実際のところ7:30から20:00くらいまで職場にいるのですが、9-17以外の時間は自己研鑽をしようと思います。これを1年続けてみて、なにか成果が得られたらいいなと思います。

積極的に何をやめるか議論しないといけない

 もう近頃は本当に雑務が増えてしまって、フレックスなのに出勤退勤時刻を記録しろとか、鬱の学生に計算で卒論書かせるためにパソコンを一通りセットアップしてアパートに郵送してzoomで指導したりとか、進級の説明会とか、大学が業績を稼ぐためにやっているしょうもない国際会議の審査員とか、もう大変です。ホント、研究ができない。

 そういう状況はどこの大学でも同じだと思うんですが、先生方はどの時間減らしてますかね?まさか業務効率化によって質を落とすことなく研究も教育も雑務も全部やってますなんて人いませんよね?あとは夜中まで仕事するとか?いやいや、もう昼間のパフォーマンス落とさないで済む限界の睡眠時間ですよね。

 で、私の場合は増えた雑務で減っているのは卒論、修論の指導の時間です。昔だったら赤ペンと青ペンでで懇切丁寧に指導してたのが、もう今はワードでコメントいれて、二回言っても治らなければこっちで直してしまってます。当然学生の学習機会を奪っていることになりますが、もう二度も三度も同じことを懇々と指導し続ける余力がありません。

 大学で卒論、修論指導以上に大切なことってそうないと思うんですよね。しかし、卒論と修論の出来不出来は大学の評価指標に入っていないので、管理されず、それぞれの先生の裁量に任されてしまう。論文のチェックだって発表中にササっと回覧するだけだし、発表も十数分しかないからいくらでも取り繕うことができてしまう。なので、実際のところは卒業生の質はどんどん落ちていると思います。このまま雑務が増えていけば、発表会で取り繕えなくなる限界まで質が低下すると思ってます。

 で、現状の問題は、雑務が増えた分、何か既往の仕事に割り振る時間が減っているはずだが、その時間が減らされる仕事が適切に選択されていない事だと思ってます。マンパワーを減らしていい仕事ではなくて、減らしやすい仕事から手を抜いている。だから、私は新しいことを始めるときと同じくらいの熱量でやめることを議論しないとだめだと思うのです。しかし、何か仕事やめておきましょうというと、めちゃめちゃ反論が来る。

 最近、インターンシップにほぼすべての学生が参加しているので、大学で工場見学に引率するのは止めましょうとある先生に提案してみたら、それでは幅広い企業を見れないからダメだとおっしゃる。いやしかし、工場見学よりもインターンでどこかの部署で就業体験したほうが一社をより深く知ることができるし、時間は有限なんだから幅と深さの両方を言い出したら、時間がいくらあっても足らんと思うよと言ってみたんですが、どうもピンとこないようでした。あとはどうせ言ったところで減らせないという諦めも見えました。

 勝手な推察ですが、大学の場合は、業務効率化によって今までの仕事も新しく増えた仕事も質を落とさずに処理出来ていて、したがって仕事を減らそうというのは怠惰であるという考えがあると思うんですよね。しかしそんな訳があるはずなくて。やめてもいい仕事と止めてはいけない仕事、区別せずに減らしやすい仕事を減らしているだけだと思います。それよりもきちんと何をやめてもいいのか議論して、時間の減らし方を制御したほうがずっと生産的というか、学生にとってメリットがあると思うんですが、あまりほかの教員には共感が得られず、ちょっと寂しい今日この頃です。

鬱の学生の卒論指導をどうするか

 実際のところまともに指導するのはほとんど無理で、必要な能力を身につけないまま卒業しているのが実情ではないかという話。

 学部生が鬱になってしまって、研究室に行きたくないというので、リモートで指導することに。この学生は年度初めは試験勉強、夏やすみは院試、そのあとコロナになったので実質的に何も研究をやっていない状態。ようやくリモートなら研究するといいだしたのが10月。ウチは2月中旬卒論発表なので、実質3.5か月で卒論と発表資料を作らないといけない。実験無しなので計算するしかなく、計算するためにはそれなりの勉強をしてもらわないといけないけど、ややこしい原理を勉強する途中で挫折してまた鬱がひどくなったりする可能性もある。一方で、こちらがおぜん立てしすぎると学生のプライドが傷つく。以前おぜん立てしすぎて学生から「これはボクの研究じゃなくて先生の研究です」とか言われて、こちらがすごく傷ついた(笑)。なので、ある程度やった感を感じつつも期限に間に合い、なおかつ精神的な負荷がかからないような絶妙な課題を設定する必要がある。

 と、そこまで考えて思ったんだけれども、鬱を錦の御旗に掲げられると、たいていのわがままが通ってしまう社会の風潮は良くないと思うんですよね。他の学生に示しが付かないし、結局学部の4年生でやるべきことを大学院に先送りしているに過ぎない訳で。まぁとはいっても、大学院(ほかの学会に行くことになっている)でも先送りしそうな気がするんですが。そして社会に出て苦労するといういつものパターン。しかし、社会でも鬱を盾にして休職して給料もらいつつ、首にならないようにするために年間数日だけ出勤する人いますよね。実際、職員の中にもそういう人がいるし。結局、いろんな社会のステージで、真面目に歯を食いしばって頑張る人が知らないうちに穴埋めをしてるんですよね。

 自分のやっていること(体裁だけ整えて発表と卒論提出させて外に出すこと)が正しいとも思えないし、かといって「いや、鬱だからといってゲタを履かせて卒業させる気はありません」という勇気もないというか、そこで大学と争う時間が無い。結局、卒業させるしかないんだろうなと今は考えています。ホント、教育者失格だなと思います。

公募要領はよく読まないといけない

 某経産省系の組織の事業に採択されてるんですが、途中でステージゲート審査があって、この時点で企業と共同研究契約を結んでいないと次に進めない制度になってます。で、なかなか良い成果が出なくて秘密保持契約を結んでいる企業も共同研究契約に進むつもりなさそうだしどうしたらいいかなぁとずっと悩んでました。

 ところが、よくよく公募要領を読んでみると、ステージゲート審査をパスしたあとのフェーズの研究において、某経産省系の組織と企業は直接何の契約も結ばないことに気が付きました。つまり、研究機関と企業さえ共同研究契約を結んでいればOKということに気が付きました。これはとても大事なことです。某経産省系の組織と企業が何らかの契約を結ぶとなると、大抵の場合、社長決裁が必要になるのできわめてハードルが高いのです。

 さらに、ちょっとまぐろくんは頭が固いので、この事業の研究で成果が出たうえで共同研究をしないといけないと思い込んでいたんですが、別に成果が出てなくても共同研究さえしていればいいんですよね。そういう意味では実はすでにこの研究テーマ自体は民間企業と共同研究契約を結んでいるんですよね。正確にはこの研究テーマと別のテーマを包括した共同研究なんですが、そこまでは某組織は気にしないので問題なし。ということで多分ステージゲート通りそうです。

 この締結済みの民間企業との共同研究契約はまぐろくんの実力で結んだというよりも、いろんなご縁のおかげで結べたということもあって、いやホント自分はご縁に恵まれているなぁと思う出張帰りの新幹線の車内でした。来年もお金の心配をすることはなさそうです。あと、しなくてもいい心配をする羽目になるので公募要領はよく読まないとなと思いました。

もうお金の問題じゃない

 雑務が多すぎてちょっと研究やっているヒマ(笑)が無いので困ってます。昨日だけ考えても

・登校拒否になってしまった学生の親御さんと電話

・登校拒否になってしまう学生が行く予定だった研究室の先生に状況報告

・学生6名と定期面談

・学科会議

・学生に実験指導

・研究室の安全点検対応(ボンベの固定がしっかりされているか等)

・共同研究先への報告書

・別の共同研究先へのNDAの書面の確認

・大学院の授業用の資料作成

これだけやってました。ほぼほぼこれで一日終わってしまうという...。少なくとも、登校拒否の学生関係、定期面談、安全点検あたりは免除にしていただかないと、とてもじゃないけど本業に手が回る暇がありません。しかも、これらの仕事は外注できないので、いくらお金を取ってきてもその辺の人にはアウトソーシングできないのです。とはいっても我々だってカウンセラーではないので正しい対応ができるとも限らないですし、大学教員にしかできない仕事もあるわけですから、専門のカウンセラーをもっと雇用して、大学教員には本来の意味での教育研究に専念させてほしいです。まぁ、もっというと、学生にもっとしっかりしてほしいのですが。朝起きれないから出席数が足りなくて単位が取れないとか、モチベーションが上がらないとか、そういう自分の甘えで追い込まれている学生の対応に時間を取られるのは、家庭と仕事の板挟みで苦しい立場としては結構くるものがあります。