過去を振り返らないマグロ

 妻は本が好きである。ハリーポッターとか、映画化される前から読んでいたらしい。指輪物語とかも。かくいう僕も、全く読まない訳ではない。ただ、我々は本に対するスタンスが全く違って、僕は”本を好んでいる”のレベルなのだが、妻は本をどうやら愛しているようである。

 驚愕したのだが、妻は文庫本を読むとき、何度もページを遡ってストーリーを見返すらしい。これって普通なのかな。僕の場合は、ページを遡ることは絶対しない。多少ストーリーを理解できなくてもいいから、どんどん読み進めていく。だって、映画見るときにわざわざ巻き戻して(この表現で年がバレるな)見返さないでしょう?それと同じ。ところが妻の場合は戻るのである。そしてゆっくり読む。だから漫画を読むのも遅い。僕の1/3くらいのスピード。

 そういえば料理と食に対する我々のスタンスの違いとよく似ている。僕の場合は、食べるのが好きなんだけれども、妻は食を愛している。だから料理を作る時も、僕は常にいかに手早く作るかを重視するのに対して、妻は凝った料理を時間をかけて作る。例えば、ホウレンソウは一回ゆでないといけないでしょう?これめんどくさい。だから僕の場合は緑黄色野菜を取らないといけないならピーマンとかかぼちゃとか手間のかからないものを食材にする。ところが妻はこのホウレンソウというそれほど気分の乗らない食材をわざわざ下茹でして、おひたしとかいうこれまた気分の乗らない料理をするのだ。それと大さじと小さじね。僕の場合のお酒大さじ3は、いーち、にー、さーん。小さじはいち、に、さん。これでだいたいOKなのである。味もそんなに変わらない。しかし妻は測る。あ、あと副菜が好き。僕の場合は大皿でドーンと一品。妻はこまごましたものをたくさん食べたがる。

 なんか妻の話になってきてしまったが、とにかく僕は本を読み返さない。過去を振り返らないマグロだからね。後ろ向いてる暇はないのだ。