仕事は寂しがり屋

 研究をするために必要な外部資金は2種類に分けることができます。学校だけで申請できるものと、そうじゃないもの。後者は大抵の場合は企業が共同申請者として付いてくる必要があります。そして、企業が付くと申請できる外部資金の額は跳ね上がります。従って、後者の方が研究費の面ではオイシイ。

 このところずっとそういう企業を探していたのですが、1社は手を上げてくれそう、もう1社は手を上げてくれました。前者はこちらからお願いしている最中です。前者の返事を待っている中で、後者が思いがけず手を上げてくれました。

 なかなか企業に手を挙げてもらうのは難しいです。というのは、学校が持っているネタは実用化、もっと言うとゼニになるまで時間がかかるので、企業としてはそんなお遊びのような研究には付き合っていられないのです。その気持ちはよくわかります。大企業でも研究開発の一部署は必ずしも大規模ではなく、雑用も多いですので、一般の人がイメージする、きれいな研究室で豊富な資金を基に研究しかやってないという感じではありません。

 そんななか、後者の企業が出てきたのはすごくありがたい!けど、ちょっとしんどいかもしれない。研究費の観点から行くと、今後の流れとして最高のパターンは、両社で1つずつ外部資金を取るということですが、今度はそんな大量のお金を貰って研究をこなせるのかという問題。贅沢な話ですが、うちのような零細研究室ではマンパワーが足りないし、仮にまた研究員を雇っても、今度は僕のアイデアが彼らの手を動かしきれるほど出てこない。アイデアを出すのは好きなのですが、搾り取られるというのは苦痛なんですよね。自発的に出すのではなく、”出すことを強要されるというのは結構ストレスです。

 そんな訳で、今日のタイトルですが、仕事とお金は寂しがり屋なんですよね。仕事とかお金は少なくなり出すと、どんどん減ってきます。ところが増えだすとどんどん増えて、制御不能になるんですよね。いや、お金は別にいいんですけど(笑)。まぁ、でも程々の仕事なんて言うのは多分空想の世界にしか存在しないんだと思います。山の上のボールみたいなもの。山の頂上(ちょうどいい程々の負荷の状態)のボールはちょっと小突くだけで辛いゾーンか楽すぎるゾーンに転がっていきます。ただ、マグロの進む道は前者しかないと思うので、がんばって泳ぎます。