教授に入試の監督をさせる文科省の金銭感覚の無さ

 この調子だと日本の国立大学は海外に負け続けると思いました。

headlines.yahoo.co.jp

以下引用。

 

林芳正文部科学相は16日の記者会見で、大学入試センター試験で試験監督だった大阪大教授がいびきをかいたことについて「(阪大の)昨年の入試にミスがあって再発防止に向けた取り組みを実施しているなか、今回の事案が発生したのは大変遺憾だ。緊張感をもって入試業務に取り組むよう、厳しく指導をした」と述べた。

 

引用終わり。

 

 大臣は阪大に厳しく指導する前に、教授に試験監督をやらせることを文科省は何とも思わないのだろうか。例えば、IPS細胞で著名な山中教授に試験監督をやらせることを何も思わないのだろうか。試験監督の業務は下のページに詳しいが、これを見る限り教授にやらせる必要はこれっぽっちも見いだせない。よく訓練されたアルバイトで充分だろう。

gullivernippon1971.blogspot.jp

 文科省は、山中教授の動かすお金が時間当たりいくらか、山中教授に支払う給料が時間当たりいくらか分かってるのだろうか。こんなマニュアルに沿った仕事をやらせるためにノーベル賞を受賞した頭脳は不要だろう。山中教授は極端な例だが、国立大学の教授ともなれば全員当然博士号を持っているし、それぞれの分野で相当の知識と影響力を持っている(そうでなければ教授になれない)。そんな人たちに学生アルバイトでもできる仕事を平気でやらせる神経を理解できない。コスト意識が無いにもほどがある。

 以前にも似たような類のことを書いたけれど、

maguro-taida.hatenablog.com日本人は狭い範囲での最適化には熱心に取り組むけれど、全体最適化が苦手だと思う。前の話は、単一の部署での利益最大化のために会社全体の利益はむしろ低下しているという内容。大学教授に試験監督をさせるのは、大学単体で見れば大学教授に残業代は発生しないので、確かに利益がふえる(というかアルバイトを雇うことによる損失が減る)が、日本と言う国全体で見れば利益は低下している。つまり、狭い範囲の最適化によって全体は最適化と逆方向に進んでいるという事。これを直すには部署をまたいだ改革が必要なので、強力なリーダーシップが必要なんだけれど、そのリーダーである文部科学大臣がこんなことを言っている始末。何とかならんかねぇ。