カンニングの立証は難しい

 オンライン授業の一環で、期末試験もオンラインでやっているのですが、そうすると新しいカンニングの方法が生まれてくるわけで...。

 

 私はそこまで複雑なことをしないのですが、先生によっては学生を全員ビデオ会議システムで監視して、ラーニングプラットフォームを使ってオンラインで試験をやったようです。そこまでやったのですが、どうやら見えないところで上手にスマホなどを使って試験中に他の学生をやり取りしてテストを解いた学生がいました。

 

 なぜカンニングしたことがわかったかと言うと、例えばA君とB君のテストの点数が同じというだけではなく、間違った選択肢も同じで、さらにその傾向は私の担当科目でも共通して見られたためです。オンライン試験だと記述式が難しく、どうしても選択肢問題になってしまうため、その点が目立ちました。また、ログを解析するとA君とB君の動きがシンクロしているんですよね。ログを取っていることは学生も知っているはずなのに大胆と言うかア〇というか...。

 

 私個人としては、そのカンニングを追及してもこちらには何のメリットもないし、放置するつもりだったのですが、別の先生がオンライン会議で尋問(会?)しましょうということで、試験中にやりとしていたと思われる学生と教員数名でオンライン会議をすることになりました。それが長いのなんの。一日潰れたと言っても過言ではありません。とはいえ、確かにこれを放置するとこのカンニング手法が広まることも懸念されるわけで。

 

 また、そうなるだろうなと思っていたのですが、基本的に学生側は「知りません」、「覚えてません」、「そのログは信頼できるんですか?」と言っていれば、こちらはログという状況証拠しか挙げられないので、攻めにくいんですよね。案の定、こちらは「ウソついてませんか?」、「間違った選択肢まで一致するなんて確率的にあり得ないんですよ?」、「ほかの学生とあなたの証言が一致しなかったら、ペナルティは重くなりますよ?」みたいなことしか言えず、学生はのらりくらりと質問をはぐらかすだけで、尋問会は難航しました。根本的にカンニングの立証は現場を押さえる必要があるので、学生がミスをしない限り、教員側は相当に不利なのです。

 

 とはいえ、カメラで尋問中の学生の顔を見ていると、気の弱い子は明らかに目が泳いでるんですよね。何度も顔を触ったりしているし。それに、そもそもやっていなければ、これだけの時間拘束されていれば怒るはずなのに、しょぼーんとしている。学生の話だけ聞いていると、コイツほんとはやってないんじゃ...?とこちらも不安になってくるのですが、今思えばそんな訳でやっていることは明らかだったなと思いました。

 

 で、まぁ結局学生は最後にはゲロったのですが、これは私の予想外でした。尋問会を主催した先生の粘り勝ちです。正直凄いと思いました。私なら開始30分で落とせなければあっさり諦めたと思うのですが、ものすごい時間尋問し続けました。あ、もちろんアカハラにはならない範囲だと思います。言葉遣いも丁寧、トータルの時間は長かったですが休憩も入れましたからね。ここは注意しないといけない点です。

 

 また、学生のモラルにも助けられたところがあると思います。気の強い学生、極端にア〇な学生だと、知らぬ存ぜぬを突き通すので、こちらとしては手の打ちようがなくなるのですが、後半、モラルに訴える方向で話をしていくと、次第に学生の挙動が落ち着かなくなり、結局良心が許さなかったのか、一人がゲロってあとは芋づる式で自白と言うことで決着しました。

 

 いずれにせよ、カンニングは本当に厄介ですね。本当に手間がかかる上にリターンがゼロ。できたらもう関わりたくないものです。