ライフワークになるようなテーマがほしい

 いま査読待ちの論文が一本あるんですが、今日は英文校閲が終わった論文をElsevier系の雑誌に投稿する予定です。学位取って5年がたち、ようやく論文を出すことに慣れてきたかなという感じです。5年かぁ。長かったような短かったような。

 私は民間企業で研究をしたかったのですが、工場勤務になってしまい、転属の見通しも全く立たなかったので、10年くらい前に、勢いで何もつてのないアカデミックの世界に入りました。当時は学位もなく、研究したいと言っても何を研究すればいいのかわからず、とりあえず学部の頃にやっていた研究のマネから入りました。当然、科研費のスタートアップなんて当たるはずもなく。とにかく、どうにかして科研を取って論文を出せるようになって学位を取らないと、クビになってしまうという思いで、当時はとにかく焦ってました。

 そんなこんなで、10年かけてようやくテニュアトラックではありますが、概ね安定したポジションにつき、科研を取り、論文もかけるようになりました。特に論文はインパクトファクタ―2くらいなら、散歩とかしている間に頭の片隅で構想を立てて、概ねこれで行けるかなぁと思ったところで、A4の裏紙にピピっとグラフと表を書いて、実験計画立てれば、まぁ投稿まで行けるなぁという感じです。

 この業界で生存していくことだけ考えれば、周りの研究者の業績を見ていると、そのくらいの国際誌に年間2,3報出していれば十分だということが分かってきました。そう思うと、最近モチベーションが湧かないんですよね。NatureとかScienceとかに投稿することを目指せばいいんですが、そこまですごい研究できるスキルが無いというか、そのスキルをどうやって身に着けたらいいのか皆目見当がつかないし、そもそも研究のことがそれほど好きではない自分に気が付いてしまったんですよね。

 振り返ってみると、研究が好きだった原因は学部の頃の指導教員が良かったんですよね。あまり良い研究環境ではなかったんですが、少ない研究費を最大限活用して、自分で機械加工して制御プログラム組んで装置を作って、たまに外部機関に出張して、自分が本当にサイエンスとして価値があると思ったテーマに楽しそうに取り組む先生でした。その学部時代の指導教員みたいな先生になりたいのですが、今まではとにかくこの業界で生き残らないといけないので、お金のとれるテーマ、論文の出せるテーマの事ばかり考えていて、自分が夢中になれるような楽しいテーマを見つけることなんて全然考えていなかったんですよね。NatureとかScienceに投稿するには、まずはお金が取れて、論文が出て、かつ自分が楽しいテーマを見つけるのが第一歩のような気がします。

 ただ、僕はそもそも工学部に入ったのはパトレイバー(年がバレる!)の影響が大きいのです。2足歩行できるロボットを作りたかった。だから制御関係の研究をやりたいと思っていたのだと思います。でも、勉強してみると何やら難しそう...。ということで今の分野に入ってしまって、全然制御と関係ないんですよね。だから、とりあえず実験装置に制御を組み込むことから始めたら、それをきっかけに何か楽しいことになるのではと思うのですが、制御関係は最初のとっかかりが難しくて、やっぱり学生時代にそういうことやってないと、何から始めたらいいのかわかんないんですよね。とかなんとか言ってダラダラしているうちにアラフォーになってあっという間に定年になってしまう気がするので、とりあえず子供と一緒にArduinoでもやってみようかな。