民事裁判の被告になった話④

 地主から賠償金を数十万円請求されたわけですが、ここで思わぬ救いの手が伸びました。従姉の旦那さんの友達も地主さん(以後、優良地主)で、この地主さんが
「俺、そういうの気にしないから、その家引き取ってあげるよ。そしてその家は俺が住むわ。」
と、豪快なことを言ってくれました。世の中捨てたもんじゃないなと思いましたが、土地はその地主のモノではないので、土地はもう一方の地主(以後、悪徳地主)から借りる必要があります。その旨を悪徳地主に伝えたところ、「いいけど、消費税とか上がっているから、地代は40 %アップ+権利金数百万払ってね」と言ってきました。これはすさまじい額です。土地の価格は現在価格で数百万円程度。不動産屋の見立てによれば、アップした地代は適正価格の2倍以上でした。そもそも、消費税は上がっていてもそれ以上に土地の価格が下がっているので、この論理は通じないのです。当然、優良地主の方も、これでは家屋がタダでも全然割に合わないということで、結局壊すことになってしまいました。自分の父親が建てた家を自分の手で壊す、最悪の気分でした。

 

 問題が振出しに戻ったわけですが、優良地主の方が不動産屋さんを紹介してくださり、その不動産屋さんが、普段から懇意にしている司法書士にこの件をどう扱ったらよいか相談してくれました。この司法書士がまた最悪だったのですが、それは次の回に分かります。不動産屋さん曰く、万が一裁判になっても、この司法書士の知り合いに弁護士がいるから安心してとのことでした。そこで、この司法書士の指示の下、とにかく家屋を早く壊して、土地を返せる状態にすることになりました。上にモノがある限り、地代は払い続けなければならないためです。並行して内容証明で、「賠償金を支払う必要は法的には無く、すみやかに家屋は壊して土地は返します」旨の連絡を、悪徳地主に送ることになりました。

 

 すると春先に悪徳地主の弁護士から「賠償金を払わない限り土地の返却は認めないし、裁判やるぞ」という旨の内容証明がきました。それを受け、司法書士に相談したところ、そんなことはできないから無視しておけば大丈夫との指示をもらい、家屋は春に解体しました。母が亡くなってからここまでで丁度1年経過しました。ちなみに家屋の解体には軽自動車の一番高いグレードくらいの費用がかかりました。そして秋、地方裁判所からの第一回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状が勤務地のアパートの郵便受けに入ることになりました。そう、私は民事訴訟の被告になった訳です。

 

つづく