信号で無駄になるエネルギーについて考えてみる

 正月といえば渋滞ですが、みんな帰省しちゃってるので、意外と市街地はすいていたりします。でも、車で走っていると結構停められるんですよ。信号で。法定速度で走っていると明らかに交差点ごとに止まるように設定してある信号機ありますよね。だれがタイミング決めているのか知りませんが、いくら安全が大切だからといって、経済効率を完全に無視するのは良くないと思うんです。そこで、信号で一回停まるとどのくらいエネルギーが無駄遣いされるのか、前から気になっていたのですが、寝正月で暇なので実際に計算してみました。

 

 僕の車の車両総重量は1700 kgです。この車が60 km/hまで加速したとすると、車の持っている運動エネルギーは

0.5×車両総重量×速度の二乗=0.5 × 1700 × 16.6 × 16.6 = 234 kJ

(60 km/hをm/sに換算すると16.6 m/s)

逆に言えば、60 km/hから1回信号で停まると234 kJエネルギを失うことになります。

エンジンの熱効率を33%とすると、234 kJのエネルギを発生させるのに700 kJ分のガソリンが必要となります。実際は機械損とかもあるのでもっと効率は悪いと思いますが。とりあえず、熱効率33%を前提とすると、ガソリン1Lあたりのエネルギは34,600 kJなので、

http://www.ecofukuoka.jp/image/custom/data/santei/hatunetu.pdf

1回信号で止まることで無駄になるガソリンは

700 ÷ 34,600 = 0.02 L = 20 cc

という結果になりました。意外と少ないな。100回停まっても2 Lか...。いやいや、でも100台の車が止まれば1回で2 Lの無駄ですからね。日本の自動車保有台数は8000万台なので、これが全部信号で停まれば160 万L。むむ、感覚的に良くわからない数字になってきた。

 

 一度立ち戻って、1.7 トンの車を60 km/hから停止することで無駄になるエネルギの700 kJで何ができるか考えると、

20℃の水2 Lを沸かせる(100 ℃にできる)

消費電力150 Wの液晶テレビだったら1.3 時間点けられる

消費電力50 Wのシーリングライトなら4 時間近く点灯できる

これだけのエネルギを一回車を停車させただけで無駄に使ってしまうんです。やはりもう少し信号のタイミングを考えてほしいもんです。部屋の電気をこまめに消すとかアホらしくなっちゃうでしょ。ちなみに、アイドリング60秒で消費するエネルギーは、576 kJ。90秒くらいアイドリングにつかった燃料で、60 km/hまで加速できることになるんですね。アイドリングストップが普及するわけだ。

 

 多分このタイミングは警察が決めてると思うんですよね。そりゃ彼らにしてみれば事故が起きれば自分たちの評価が下がるから、事故は起こしたくない。一方、車がスムースに流れて経済損失が小さくなっても警察は褒められない。となれば、信号で車をこまめに止めて車の平均速度を下げたくなる。もっと言えば、そこを強引に突っ込んだところを違反で捕まえれば罰金を取れますしね。ただ、これは組織としては仕方ないことで警察が悪いわけではないと思います。信号のタイミングを決める際に、経済効果を考えないで済む仕組みを作ってしまった法律が悪い。

 

 どこの省庁になるかわかりませんが、経済効果を考える省庁と警察庁が議論したうえで信号のタイミングを決めるような仕組みができたらいいと思うのですが。IOTが発達してきているので、技術的には可能なんでしょうけど、人の命より金が大事なのか!と言われると反論し難いので、政治的に難しいのでしょうね。ただ、この信号による損失を10%でも減らせればヘタな省エネ技術より社会的インパクトが大きいと思うんだけどなぁ。と思いつつ、エアコンの効いた部屋でダラダラしています。