雇用する立場になると”クビ”に対する考えが変わる

 働き方改革が話題ですが、雇用の問題でいえばクビを切る方について僕は昔と考えが変わりました。昔は、簡単にクビを切れない日本の雇用システムは労働者にある程度の安心感を与えるからいいものだと思っていました。ところが、数年ほど前から実験補助員を雇うようになり、考えが変わりました。最初、直接雇用しようと思ったのですが、とにかくいい人材が来ない。求人を出しても来るのは元〇産党員で40才で大学で学び直し中の男性とか、片道2時間のところから自宅通勤しようとする女性とかそんなんばかり。変な人を雇うと、研究費は吸い取られるわ、仕事を教え込むのに時間がかかるわで、こちらが倒れてしまいます。で、結局人材派遣会社から人を雇うことにしました。なぜなら、コイツだめだと思えば派遣会社に「コイツをクビにして」ではなく、「コイツを別の人に変えて」と言えるからです。変な仕組みですが、雇う側にすると、こんなに安心なシステムはありません。逆に、直接雇用のハードルの高さをひしひしと感じました。

 

 派遣会社はとにかく高い!ですが、その価値が無いかと言うとそうとも言えません。こちらが派遣会社に払っている額は時間当たり2400円程度、ところが派遣された方に聞いてみると4割くらいとられているらしいのです。しかし、その代価(メリット)を列挙すると僕に関係が深いのは

・チェンジが可能

雇用保険などのいろいろな社会保障費を負担しなくて済む

・人件費ではなく、物品費扱いなのでいろいろな予算を使える

です。4割の内、2割はそもそも私が研究費から捻出しないといけない社会保障費などになると思われるので、のこりの2割で最初と最後のメリットを享受していることになります。このメリットのためなら、悪くないなと思います。

 

 派遣会社はあんまりよく言われないですが、個人的には本当に助かっています。しかし、本当は直接雇用された方が、派遣会社にピンハネされないので、労働者にとってはメリットが大きいはずです。ところが、日本の雇用関係の決まりが雇用する側を委縮させるのもまた事実だということに気が付きました。とくにクビにできるかどうかということ。労働者を守る決まりのはずが、結果的に労働者から労働の対価をピンハネする結果になっている。なかなか世の中うまく行かないですね。