不妊治療している人にとっての年賀状

 正月と言えば年賀状。みなさん年賀状にそれぞれ思いがあるようです。私がどちらかというと出す方です。仕事柄、人脈を大切にしなければならないというのもありますが、人付き合いが好きな方であるという性格の方が大きいかな。ただ、受け取る方については、ここ数年苦しかったのも事実です。

 というのは、なかなか子供に恵まれなかったからです。私たちは8年ほど前に結婚して、6年ほど前から子作りを始めて、4年ほど前から不妊治療を始めました。当時妻も20代だったのでまだ早いと言われましたが、直感でこれは早めに始めないといけないと思い、治療に入りました。しかし、タイミングもダメ、人工授精(精子を直接子宮に入れる)もダメで、3年ほど前から体外受精に移りました。それでもなかなか授かれない日々が続き、働いている妻は精神的に苦しい、出費もハンパではない(だいたい毎月20万円くらい出ていくイメージです)ので、夫婦の仲も険悪になりました。

 そんな中、お正月になるとそれぞれの家庭の子供の写真を載せた年賀状が来るわけです。気分がいい訳がありません。もちろん、そんな妬みはいけないことだと分かってはいるんですが、そうやって自分を言い聞かせられるのは精神的に余裕のある時だけで、高度不妊治療が長く続くと、間違っても「わぁ、子供さんかわいいね」なんて考えは浮かびません。少なくとも私は。ただ、その年賀状を出した人に対してネガティブな感情を持つことはなくて、どちらかと言うと自分達のめぐりあわせの悪さを嘆くような感情が強かったです。

 そんな訳で、今年待望の第一子を授かりましたが、年賀状に子供の写真は載せませんでした。載せたのは名前だけ。賛否両論あると思いますが、子供の写真付きの年賀状が不妊治療で長年苦しんでいる人を苦しめるのはほぼ確実と思いますので、我が家はそういう方針にしました。ま、もちろん相手を選べばいいんですけどね。よくよく考えてみると、自分の周りに不妊治療している人いないな...。