装置を壊す学生をどう指導するか

 学生と一緒に実験していたのですが、彼は初めての実験だったので、手取り足取り教えました。その後、だいぶ慣れてきたけど、ここはまだ怪しいなというところまでできるようになったところで

「この手順の直前まで作業を進めたら呼びに来てね。」

といって居室に戻って書類仕事をしていました。そしたらなかなか呼びに来ない。で、見に行ったら

「先生、装置が壊れてしまいました...。」

 

 正直、イラっとするんですよね。「壊れた」んじゃなくて「壊した」んだろと言いたくなります。で、事情聴取したら、案の定、指定の手順の直前で作業を止めずに、その先までやってしまったために壊してしまったというオチでした。損害額15万円。

 

 出せなくないですよ?でもね、15万あったら、ボロイ机とイスを更新したりとか、学生用のディスプレイ4枚くらい買ったりとか、いろいろできるじゃないですか。それを思うともう腹立たしいというかなんというか。結局、怒鳴る訳でもなく、過ぎたことは仕方ないから気を付けるのと、人のいう事はしっかり聞きなさいと言って帰しました。顔見てると怒鳴りたくなってくるので。「なんで指示した事を守れないんじゃー!この〇〇が!」みたいな。

 

 問題はこの学生とどう付き合うかなんですよね。実はこの学生の過失かどうかわからないのですが、この学生は同じ装置を使ってやっぱり同じように壊してるんです。つまり合計で30万円吹っ飛んでしまったという状態。これ、お金持ちのラボだと大したことないかもしれませんが、零細研究室ではかなり重い。正直なところ、もうこの学生に実験させたくありません。装置を壊すという事は事故でけがする可能性も高いということなので、安全面でも怖いんですよね。それと、若干発達障害っぽいところもあって、指導が難しいんですよね。

 

 とはいえ、一応教育者の端くれなので、すべての実験に立ち会って、もっと丁寧に指導して、当たり前に実験のできる人間に育てて社会に排出すべき!とも思います。でも時間をめちゃくちゃ喰われてしまう。責任転嫁かもしれませんが、時間は有限ですから、この学生に手間を掛ければ他の仕事や学生の指導にかけられる手間は減りますから、必ずしも社会にとってプラスになるとは言えないんですよね。どうしたらいいんでしょう...。