学生×ミスの多い技官=何にも分からない

 いくつか学生の作った試料を学内の分析に出していて、10個中8個は今までの結果から予想される通りの結果だったんですが、2個が違ってました。ところが、その2個のデータを入れ替えると、その2個も予想される通りの結果になるんですよね。これ、2,3か月前も同じようなことがあって、1か月ほどかけて再実験したら、技官の試料の取り違えだったというオチだったんです。一方で、試料を作った学生の方は真面目なんですが、学部の4年ということもあって、ミスが多いんです。

 もうこうなると訳が分からなくなります。もしかしたら本当に何か思いもよらぬことがおきていたのかもしれないし、学生が間違えただけかもしれないし、技官が試料を間違えたのかもしれない...。結局、雇用しているテクニシャンに全部再実験してもらうことにしました。分析も依頼分析ではなく、機材を借りてテクニシャンにやってもらうことにしました。

 ウチでは学部4年生には、試料コードと合成、評価手順をマトリックスにしたものを渡して研究してもらっています。例えば、表の列方向にはA-1, A-2, A-3...という試料コードが書いてあり、行方向には出発材料, 処理A, 分析A, 分析B, 処理B, 分析c...という感じで、出発材料から処理(何g秤量して、何度で何時間処理して...みたいな)と分析法が順番に記載されています。あとはマトリックスにチェックを全て入れるようにすれば、論文に必要なデータが一通り得られるという訳です。

 このマトリックスの目的は、作業に入る前に作業内容を明確にして、作業している間に迷うことがないようにすることなんです。作業している間に迷うとミスしますからね。しかし、ここまでやってもやっぱりミスを起こしちゃう子は起こしちゃうんですよね。あと、学生の字がキタナイのも問題です。読めないんですよね、試料コードが。お前だけが読めればいいんじゃないんだからきれいに、というかせめて他の字と識別できるように大きな字で書けと言ってるんですが直らない。学生に再実験させて、自分の汚い字のせいで苦労させられることを体で学んでもらってもいいんですが、またミスがあったりするとお金も時間も厳しくなるなぁということで、結局テクニシャンにやらせることにしました。学生が1か月かかるところを3日くらいで終わらせちゃいますからね。

 ということで、なかなか大学で研究と教育を両立させるのは難しいなぁと思う今日この頃でした。企業との共同研究を学生にやらせる先生もいるみたいですが、本当に指導が上手だと思います。共同研究に耐える実験の精度、実験速度を出せるように学生を鍛えるのは相当に難しいです。