高等教育のグローバル化

 僕も教員の端くれ。グローバル化の流れに巻き込まれています。授業を英語でやれと言われたり、国際交流しなさいとか、留学生を受け入れなさいとか。最近は授業のスライドを英語で作るようにしています。まだ実際に使っていないので、学生からの評判がどうなるかはわかりませんが。

 このグローバル化、教員ばかりが対応しないといけないような風潮ですが、はたして大学の方は対応できているのか、もしくは対応しなければならないことに気が付いているのか、甚だ疑問です。昨今、ファーウェイが修士課程を卒業した学生を初任給40万円で雇うみたいな話がニュースになっていましたが、同じことが教員にも起きます。つまり、グローバル化の流れによって、教員が英語で授業や論文、外部資金の申請書を書くようになる。そうすると、その教員はもはや日本のみで仕事をする必要がなくなるのです。すると、海外で働こうかという教員も出てくるはず。もしくは海外の大学からオファーが来る可能性も。その時、日本の大学はカウンターオファーできるでしょうか。まず無理でしょう。給与は低い、雑用も多い、保護者は神経質etc...、英語ができる前提であれば、日本の大学の魅力はあまりないように思えます。つまり、日本の大学はグローバル化に対応して、教員の待遇改善をするつもりがあるかというと、たぶんないだろうということです。

 逆に、日本の大学が海外から人材を引っ張れるかというと、これも難しいと思います。英語のみで仕事をする人がマイノリティーである間は、その人が言語の問題でできない仕事を日本人教員が受け持てますが、人員構成が逆転すれば日本人教員の負荷が増えるので、このやり方は難しいでしょう。さりとて、海外の人材がわざわざ日本語を覚えるとは思えませんし。さらに待遇は悪いと。あ、ちなみに製造業の様に、東南アジアとか南米から教員を呼ぶのは無理だと思います。それらの国の方の論文の査読をしていると、日本の修士論文より落ちるレベルの論文がごろごろしていますので。

 そうすると、落ち着く先は大学教員の待遇改善になるか?と期待するのですが、どうでしょうねぇ。とりあえず、自分のできることはスキルアップだなと思う今日この頃です。少なくとも、”雇っていただいている”から”雇われてあげている”レベルになる気概で仕事したいです。それも辛いけどなー。