業界1番手or2番手につくことが重要

 これは昔勤めていた会社の人事課長の受け売りです。「業界の1,2番手にはいろんなところから質のいい情報が来るから、ますますその業界で優位になる。3番手以降はどんどん競争力を失う。だから1,2番手になれないならウチはその事業から撤退する。」というようなことを言っていた。

 最近ようやくその意味を実感するようになった。僕の研究はニッチな分野ではあるが、その分野では1番手になっている。そしたらメジャーな分野の1番手の関係者から共同研究の打診が来た。彼らの持っている極めて特殊な材料に僕の技術を導入して、もっと性能の高い材料を作らないかという提案である。まさに質のいい情報である。この特殊な材料は、一般の研究者は手に入れる事すらできない。それをもらって好き放題研究していいというのだ。おそらくこの研究で得られた知見は、さらに波及効果を生んで、また次の質のいい情報を運び込んでくると思う。ニッチな分野ではあるが、1番手で走り続けたからこそ彼らの目にとまり、今回の提案に至った。

 研究のアクセルを全開にし続けるのは大変だったが、新しい世界が見えてきた。今の所属機関では、研究に全てを突っ込んでいる姿は、あまりよい評価をもらえない。だから研究をもっと下火にして、学会発表もやめて、自分で研究の速度を制御することも考えた。共同研究になると自分のペースではもはや研究できないから。でも、明らかに自分は見えない大きな流れに乗っているのを感じたから、アクセル全開で走り続けた。全開でアクセルを踏み続ければ、周りの誰かがさらに自分を高みに連れて行ってくれるとおもったから。気が付くと周りの協力者は一流の大学・企業の方ばかりになった。彼らの助けが三流研究者の僕の想像以上の速度で研究を進めてくれた。その結果、新しい世界への扉(特殊な材料のことね)を手に入れた。

 これからもアクセル全開で行こうと思う。だってマグロだから。泳ぐしかないから。結果が出るかどうか不安だから、結果が出なかった時に絞り出すことを強要されるのが怖いのだけれど。